半導体を基軸としたテラヘルツ光科学と応用展開

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プロジェクト概要
project

研究開発概要

 

CRESTでは、平成23年当時最高のテラヘルツ帯注1)の電場強度を達成し、テラヘルツ非線形光学の分野を拓きました。また、波長限界の1/30の空間分解能とビデオレート注2)の高速計測を同時に実現し、高分解能かつリアルタイムでの生細胞観察に成功しました。その後、CRESTで培った光レーザー励起のテラヘルツ技術を半導体テラヘルツ技術へと展開し、半導体光源・検出器を用いたイメージング装置を開発するなどの活動を通じ、ACCELでのPOC達成に向けての開発指針を得ています。
ACCELでは、半導体光源のアレイ化、モジュール化による出力改善や、検出器への位相検出技術付加による感度改善、高速イメージングのためのアレイ化、モジュール化を行い、光源・検出器・低損失最適光学系・制御系・解析ソフトウエアからなる透視イメージング基本システムを構築することにより、既存技術に比べて高分解能、高速、安全なボディスキャナー、非破壊検査装置などの実現をはかります。これによって、交通機関などの公共の場でのセキュリティの強化、工場などで生産される製品の安全性の向上など、安全・安心社会の実現を目指します。

高度強度テラヘルツパルス光源を開発し、生細胞の可視化を実現

テラヘルツ(THz)光は電波と光の境界領域にある電磁波です。これまで発生・制御・検出が困難なことから未開拓電磁波領域と呼ばれてきましたが、近年の技術革新が引き金となって産業化への期待が膨らんでいます。私たちはCRESTにおいて、100フェムト秒のパルス幅をもつレーザーとニオブ酸リチウムの結晶を用いて、電場振幅が1MV/cm以上の世界最高水準の高度強度THzパルス光源を開発しました。このTHz光を半導体に1兆分の1秒という短い時間照射するだけで、半導体中の電気伝導を担う自由電子数を約1000倍に増幅することに成功しました。また様々な極端に非線形な光学応答を発見することができました。さらに、この光源の特性をいかして、これまでにないTHz近接場顕微鏡装置を構築し、波長限界の100分の1以下の空間分解能とビデオレートで実時間観察を実現し、生細胞観察にも成功しました。

高分解能・高速・安全なテラヘルツイメージングシステムの構築

ACCELで取り組むべき課題は、THz光源・検出器の開発に加えてシステム化があげられます。THz光源の開発は急速な展開をみせてはいますが、まだ出力が不十分です。光レーザー励起のテラヘルツ技術を半導体テラヘルツ技術へと展開し、半導体光源・検出器を用いたイメージング基本システムの構築を行います。半導体光源のアレイ化、モジュール化による出力改善や、検出器への位相検出技術付加による感度改善、高速イメージングのためのアレイ化、モジュール化を行い、光源・検出器・低損失最適光学系・制御系・解析ソフトウエアからなるテラヘルツイメージング基本システムを構築することにより、既存技術に比べて高分解能、高速、安全なボディスキャナー、非破壊検査装置などの実現を図ります。これによって、交通機関などの公共の場でのセキュリティー強化、工場などで生産される製品の安全性の向上など、安全・安心社会の実現を目指します。

 

注1) テラヘルツ帯
一般的にはミリ波の次に短波長の周波数300ギガヘルツ(GHz)~3テラヘルツ(THz)(波長100マイクロメートル(μm)~1ミリメートル(mm))帯を指す。

注2) ビデオレート
実時間観察ができる画像取得速度を表す。